大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

津地方裁判所 平成7年(わ)264号 判決 1996年2月02日

本籍

名古屋市中区錦三丁目一七〇二番地

住居

三重県鈴鹿市平田二丁目一番一四号

飲食店経営

福岡豊

昭和八年八月八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官河瀬由美子出席の上審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、三重県鈴鹿市平田二丁目一番一四号に居住し、同所において、「みさき屋」の名称で飲食店等を経営するものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上金の一部を除外して割引債券を購入するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成二年分の実際所得金額が六五九八万七五八三円で、これに対する所得税額が二八六三万円であったにもかかわらず、確定申告書提出期限内である平成三年三月一二日、同市神戸九丁目二四番四五号所在の所轄鈴鹿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八三九万六九三四円で、これに対する所得税額が一三四万一〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額との差額二七二八万九〇〇〇円を免れ

第二  同三年分の実際所得金額が六四九二万六四六三円で、これに対する所得税額が二八〇八万三五〇〇円であったにもかかわらず、確定申告書提出期限内である平成四年三月七日、前記鈴鹿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一六九〇万〇五〇二円で、これに対する所得税額が四四七万六四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額との差額二三六〇万七一〇〇円を免れ

第三  同四年分の実際所得金額が六八二八万七八四九円で、これに対する所得税額が二九七〇万八〇〇〇円であったにもかかわらず、確定申告書提出期限内である平成五年三月一一日、前記鈴鹿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七八四万三二九四円で、これに対する所得税額が四八〇万八八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額との差額二四八九万九二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  当公判廷における被告人の供述

一  記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)甲1ないし5、9ないし12、乙1、2の各証拠

判示第一の事実につき

一  前同カード甲6、13の各証拠

判示第二の事実につき

一  前同カード甲7、14の各証拠

判示第三の事実につき

一  前同カード甲8、15の各証拠

(法令の適用)

罰条 判示各事実 所得税法二三八条一項

刑種の選択(判示各罪) 所定刑の懲役と罰金を併科する

併合罪加重 平成七年法律第九一号による改正前の刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項、所得税法二三八条二項(懲役刑につき犯情の最も重いと認める判示第一の罪の刑に法定加重し、罰金は合算額をこえるほ脱税額の範囲で処断する)

換刑留置 前同刑法一八条

懲役刑の執行猶予 前同刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 上本公康)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例